Taks Photograph Systems: AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G

■購入経緯

ニッコールf1.4Gの一本を買おうと思い色々検討した結果、58mmを購入。
f1.4Gの単焦点の他では味わえないスペシャルな一本。

■写り

最初は色々試してみたが性格を掴むには結構時間がかかった。良さを知るには工夫がいるレンズ。
まずこのレンズの設計思想については自分が説明するよりもこちらをご覧頂ければ分かるので割愛して実写で使ってみての感想を述べたいと思う。

このレンズ、良い味を出すにはまず撮り方に気をつけなければならない。
点が点に写る設計、自然なボケ、三次元的ハイファイなど他にはない要素が盛り込まれているせいか、絞り・撮影距離によって描写が大きく変化する。
特に接近しての開放描写では激しい収差とボケ量により非常に緩く滑らかな写りとなる。
また、中央ピント面においても収差は消えずピンボケか？と思ってしまうような具合であり、
これが位相差AFにおいても精度を鈍らせる要因になっているのか開放F1.4は非常に神経を使う。

しかしこれをF2にするだけで細部では色収差があるものの大きな収差は減り、すっきりとした描写に変化する。
この違いは使ってみてほんとに驚いた。
F2～F2.8辺りはこのレンズで良く使われる絞りだろうか、自分も昼夜通して良く使う。
この辺りの滑らかなボケは絶品でピントを目立たせるためのボケではなく、
手前から被写体そして奥へとごく自然にアウトフォーカスするもので、まさに三次元性を表現するものである。
F3.2からは解像感が増してきて、F2.8からははっはり分かるほどの違いが出るが、
シャープネスはF4付近でピークが来ておりこれ以降は大きな変化は無い。

遠景において開放では被写界深度は当然浅いわけだが、他のレンズと比べてピント位置の解像感はとても高い。
これは設計者も言っているがそういう仕様になっており、
星や夜景の光源においては開放でほぼ点で写り、低照度でのコントラストも高い。
また、遠景においても三次元性が消えることが無く、実は絞ってもパンフォーカスにはなりにくい。
このレンズではそういうことをせず、立体感を撮れということなんだろう。

今現在、大体D810で使用することが多いが昼間の撮影ではAE任せで露出オーバーになりやすく、
結構マイナスに補正してることが多い。
逆に夜間はコントラストがとても高く、絞りを開けても高い描写をしてくれる。
それは他のレンズと比較しても開放でかなり良く写るのが分かる。
流石に開放でいつでもいけるというものではないが1～2段絞るだけで夜景の手持ちスナップも楽勝だろう。
やはりNoct進化系といったところだろうか。このレンズまずは夜の撮影で使ってみてほしい。ほんとに良い。

■機能

このレンズのフォーカス形式は全郡繰り出し方式となっておりAFはそれほど速くはないが描写重視の設計になっている。
機能面ではあとは特に変わったところはなし

■使い勝手

フォーカスリングは比較的軽いが、遊びは無く安価のレンズのそれではなくハイエンドらしい作り。
サイズは85mm×70mm　フィルター径72mmと標準域単焦点としては比較的大きいが、
外装がプラスチックボディで軽量化しており約385gと軽い。
D810などのボディに付けるとバランスが良く扱いやすい。
最短撮影距離0.58m、最大撮影倍率0.12倍と標準域らしい感じで、ブツ撮りなどではやはり寄れないシーンが多い。
50mm同様、前玉が奥まっているため保護フィルターは特に必要ない気もするし、
花形フードもそこそこ大きいのでフィルターは入れてない。

■評価

今までの撮り方に大きく変化をもたらし、色々考えさせられた。このレンズはとても奥深い。
しかし何となく撮るだけではこのレンズらしい写真は撮れないと思われるので、扱えるだけの経験と知識があると良い。
使い込めばまだまだ違うものが撮れそうだ。

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